笹貫の家
宮崎県西都市の西都原古墳群近傍に建つ住宅。
住宅の計画において、一般的には土地が先にあり、土地の形状に合わせて住宅のプランを考えていくというプロセスが通常である。しかし今回の計画では住宅のプランを先に確定させ、そのプランに必要な分の広さの土地を購入するという特異なプロセスで計画が進められた。
そのようなプロセスであれば、設計者のやりたい放題じゃないかと思われるかもしれないが、そうは問屋が卸さない。
周辺環境や予算、そして何よりもクライアントの暮らし方の明確なイメージから、半自動的に住宅のプランと土地形状が決定された。
すべての居室が南面する東西に長い平面プランに、緩勾配の切妻屋根をかけた伸びやかな平屋。
夏の日差しは遮り冬の日差しは取り入れる、奥行きを深く高さを抑えた軒とテラス。
外壁はモルタル金コテ仕上げ、軒は垂木と野地板を現しとして、古墳群の近傍という周辺の環境と風景と調和するような原初的な形態とした。
経年変化によってモルタルはいずれひび割れ、木材は変色し劣化していく。
それをネガティブに捉えるのではなく、住人と共に歳を重ねていき、味わいを増していく住宅となることを願っている。
- 所在地:宮崎県西都市
- 構造規模:木造平屋建
- 敷地面積:374.89㎡(113.40坪)
- 延床面積:124.29㎡(37.59坪)
- 施工:(有)松浦建設
- 竣工:2022年12月
- 撮影:studio marsh 沼口 紀男