OIWAKE SDGs PARK

廃校となった小学校を、宿泊施設に改修するプロジェクト。
スポーツ合宿や、企業の宿泊研修などに対応できることが求められた。

「学校の記憶」は残しながらも、宿泊施設としての快適性は確保するように「残すところ」と「刷新するところ」を選定し判断した。

緑鮮やかな校庭の芝と呼応するように、外壁は白に塗装された。
3つの教室のうち2つは宿泊人数16人の大部屋に、1つは2部屋へ分割し2~4人の個室に改修。
給食室はシャワールームに、玄関はキッチンを備えたラウンジへと改修した。

廊下と教室の木製の間仕切りは、その光景を見るだけで誰もが郷愁を感ぜられる、学校らしさの象徴的な要素だ。
この間仕切りを残し「学校の記憶」をより強く空間として表現したかったのだが、行政との協議の末いわゆる「防火上主要な間仕切壁」に変更することが求められた。
(他県ではそのまま残している先行事例もあるにもかかわらず、だ)

せめて違う形で「学校の記憶」を留めたいと考え、間仕切壁は黒板の緑に塗装した。

加速度的に進む少子化により、廃校となる学校は今後ますます増えるだろう。
このプロジェクトのような改修事例は全国的にも散見されている。
学校は、その地域のアイデンティティであり記憶の中核である。
宿泊施設に変更するだけにとどまらず、より多彩な既存施設の活かし方が行政の柔軟な対応のもとに検討し実施され、地域の活性化と存続につながることを願っている。

  • 所在地:宮崎県児湯郡新富町
  • 構造規模:鉄筋コンクリート造 平屋建て
  • 敷地面積:1795.75㎡
  • 延床面積:394.25㎡
  • 施工:有限会社 甲斐工務店
  • 竣工:2022年3月
  • 撮影:studio marsh 沼口 紀男